#002(2013/04/05)
世界最大級のモバイル関連機器イベント「Mobile World Congress 2013」が2月25日から28日までスペインのバルセロナで開催された。そこで大きな注目を集めたのは新OSの発表だ。Androidが落ち着いてきた中、新しいOSが注目されるのか、時間が経ったが簡単にみていくことにする。
米調査会社IDCによると、2012年第四半期のスマートフォンのOSシェアは、トップでAndroidが70.1%、続いて2位でiOSが21%としている。この2つのOSで9割を占めているということになる。
この状況下で「Mobile World Congress 2013」において「Firefox OS」と「Tizen」が第3のOSを狙って発表された。
Firefox OSはMozillaが開発したモバイル向けOS。KDDIやLG、ソニーモバイル、ファーウェイ、クアルコム、Sprint(アメリカ)、ZTEなどがサポートする。他にも世界の通信事業者が多いのが見受けられる。
ほぼ全てのアプリケーション開発がHTML5で行えるため、容易に開発でき、他への移植も簡単にできるようです。
ネイティブアプリの実行環境は省いているシンプルな構造となっているため、低価格帯端末に向いたOSといえる。
TizenはLinuxベースのモバイル向けOS。インテルとサムスンが中心となりNTTドコモやOrange(フランス)、Sprint、ボーダフォン(イギリス)、NEC、パナソニック、富士通、ファーウェイなどが参加している。
こちらもFirefox OSと同じく自由がきき、HTML5で容易に開発、移植ができるようだ。パフォーマンス重視のアプリケーション開発もできるようにC/C++で開発することも可能だ。Firefox OSよりもハイエンドな端末の製作も可能なOSといえる。
TizenもFirefox OSもまだまだ開発中でドコモは2013年度中、KDDIは2014年度中に端末を提供予定ということでそれぞれのOSの詳しい説明は発売ぐらいに行う。
さて、これらの新OSの開発をおこなっているのは上記のとおり、Firefox OSがブラウザでお馴染みの非営利組織Mozillaであり、Tizenも開発に様々な企業が参加している。そのため、オープンなOSになっている。
オープンといえばGoogleのAndroidもオープンである。それゆえにメーカーも投入し、シェアも大きく伸ばした。ただ、開発がGoogle中心なため、Googleの影響が強く独自サービスを入れたくても入れにくい状態になっている。
携帯電話の事業者にとっては独自サービスによって新たなビジネスを進めたいという気持ちは必ずある。iOSは言うまでもないがオープンであるAndroidでも制限を受けてしまっていることが第3のOSを大きく押し進めた形だ。
両者とも自社で独自サービスを展開したいと考えているだろうし、HTML5サポートしたオープンなOSとしてTizenとFirefox OSの両方を検討している。
ドコモがTizenを選んだ理由として、Tizenがローエンドからハイエンドまで端末の製作ができる点を挙げている。
また、KDDIがFirefox OSを選んだ理由として、Tizenがメーカー主導なため、将来的にiOSやAndroidと同じような制約を受ける可能性がある点を挙げている。オープンなため何か面白い世界ができるとも語っている。
ドコモはTizenを、auはFirefox OSを採用する表明をしている。ソフトバンクはどうするのだろうか?iPhoneだけでやっていくとでもいうのだろうか?
ソフトバンクといえば、米Sprintを子会社化することを予定している。そのSprintはTizen、Firefox OSの両方ともに名を連ねている。
どちらにせよ現時点では明確になっていないので、動向は気にしておこう。
Linuxディストリビューション「Ubuntu」でお馴染みの英カノニカルがスマートフォン用OS「Ubuntu for phones」もある。
最大の特長はスマートフォンとPCのどちらでも利用できる点だろう。スマホ向けで作成してもPCで動作したり、スマホをドックに挿せばPCで操作などもできるそうだ。
パートナーはまだ明らかになっていませんが、注目のOSだと思う。
ユーザーにとってはまだどちらが魅力的に感じるかは分からない。これからエコシステム作りが本格化し、ユーザーが選ぶこととなる。どちらにせよAndroidの後発であるためどこまで仕上げられるかに期待したい。