#003(2013/04/23)
ドコモはNECカシオ製スマートフォン「MEDIAS W N-05E」を4月18日に発売した。この端末の特長はなんといっても2画面で折りたためるところだろう。折りたたんだ状態だと幅64mmと持ちやすい4.3インチのスマートフォンとして普通に使える。厚さも12.2mmとあまり厚さは感じない。開けば5.6インチのタブレット級のディスプレイサイズとなる。@では端末誕生の背景と構造について触れようと思う。
1991年ごろにアナログ携帯電話サービスが始まり、超小型の端末を提供していくことになった。NECは「ムーバN(TZ-804)」という折りたたみ型の機種を発売し、その後も折りたたみ型を多く採用している。他社はストレート型が大半を占めている。
年が経つとディスプレイが大きくなっていき、ストレート型よりコンパクトな折りたたみ型が好まれていった。そもそもストレート型だと大画面化にも制限があっただろう。
2000年2月に発売された折りたたみ型のN502iやN502iをベースにカラー液晶にしたN502itが特に人気が高かった。
こうした背景が折りたたみ型端末のパイオニアといわれる要因だ。まぁ、10年以上前のことだから残念ながら知らない世界を話しているわけだが…。
NECは今までの折りたたみケータイ、スマートフォンのノウハウを活かして画面を外側に折り込む「バックフォールド」形状の端末を開発した。
このバックフォールド型の発想はNECカシオだからこそ思い浮かび、実際に実行できるのだ。普通の企業であれば「それは売れないよ。」と言われ、それで終わってしまう。
もちろん、NECカシオでも反対していた人が相当いたそうだが商品開発を進め、2012年2月22日に「MEDIAS ES N-05D」や「MEDIAS TAB N-06D」などの新商品発表会を行った際に、グローバルモデル「Best Cloud UX Device」という名でモックアップが展示された。
そのあとすぐの2月27日〜3月1日に開催された「Mobile World Congress 2012」でも展示された。新しいスタイルが目を引き、意外と好感触だったようだ。
ちょっと大きな画面で見たいと思ったときにストレートのスマートフォンだとテレビなどに出力しなければ画面が大きくなることはないし、タブレットを持ち歩くのは邪魔になる。そんな思いを実現したのが「MEDIAS W N-05E」だと思う。
ちなみに、2011年に発売されたソニー製のタブレット端末「Sony Tablet P」も折りたたみ型である。ただ「MEDIAS W N-05E」と違い内側に折りたたむタイプである。まぁ、画面が傷つかないようにという普通の考え方だと思う。
では、NECカシオはなぜ外側に折りたたむことにしたのか?大画面とモビリティの両立を掲げ、普段から違和感なく使えるスマートフォンを目指したという。もし内側に折りたたむ形にすると、いちいち開いてメールやSNSをみる必要がでてくる。スマートフォンはフィーチャーフォンと違って多彩なアプリを効率的に利用することで力を発揮する。
ただ、この形状は他にも便利に思うところが多くある。
便利なところの話の前に本体の話も少ししておく。
開いた時に左側がメインディスプレイ、右側がサブディスプレイとなっている。サブディスプレイ側にバッテリーやカメラなどほとんど入っていて厚みもある。横画面にする場合はサブディスプレイを手前にして持つことで安定感を得られる。
この端末は奇抜な構造だが、端末を広げたときの固定されるときのカチッという音や閉じるときの吸い込み感などヒンジ部分にこだわっているようだ。実際に触れてみたが、心地よく何度も開けたり閉めたりしてしまった。
初期MEDIASから採用されているステンレスと樹脂を一体化させた強剛性ハイブリッド構造とヒンジ部分をうまく結合することによって、デザイン性もありながら強度も確保している。ディスプレイには強化ガラスを採用している。