MVNO比較、月額課金のデータ通信専用SIMカード編

#014(2014/04/27)

今話題のMVNO。安いというのが売りですが、安ければ制限もあります。MVNOでも有名な所の月額課金のデータ通信専用SIMのサービスについて比較しやすいようにまとめてみます。

話題沸騰のMVNO

暖かくなってきました。新生活の方々はもう慣れましたかね?さて、4月に増税があったことも影響したのか、MVNOの価格競争やら、新パッケージの導入やらと白熱しています。ニュースでも安くスマートフォンを使える新サービスの特集を最近よく見ます。イオンがスマートフォンセットで月額2980円を台数限定で発売したことが大きな話題になりました。さすがに全てのサービスを紹介することはできません。私が倒れてしまいます。ただ、ちょっとずつでも増やしていけたらと思います。では、比較しやすいように殴り書きしていこうと思います。

MVNOって?

今いろいろ話題になっているMVNOですが、仮想移動体通信事業者(Mobile Virtual Network Operator)の省略で、回線網を自社では持たず、実際に保有するドコモなどの他の事業者から借りて通信サービスを行う事業者のことです。MVNO事業者のほとんどはNTTドコモの回線を利用したものが大半です。理由としてはMVNO向けの接続料がドコモが最も安いからだそうです。

それはともかく、MM総研が2014年1月22日に携帯電話端末契約数、およびユーザーの端末購入動向に関する調査結果を発表しました。調査ユーザーは、15〜69歳の男性・女性の1650人。その中で端末種類別の月額利用料金の結果が、MNOでスマートフォンを利用すると月額6826円でMVNOでSIMカードを利用すると月額1801円であるという結果が出ています。MVNOがいかに安くできるかがよく分かります。

MM総研
スマートフォン契約数およびユーザーの端末購入動向(2013年12月) - 株式会社 MM総研

比較表

今回は月額課金のデータ通信専用のSIMカードを比較していきます。最近は電話もできるSIMカードもありますが、またの機会にしたいと思います。プリペイド式も今回は保留ということで勘弁してください。以下に簡単な比較表を載せておきます。そのあとにそれぞれのサービスについて書いていますが、ちょっと文章量が多いので気になったものだけ見ていただけたらなと思います。(このページに表示されている価格はすべて税抜にしております。)

企業名 サービス名 プラン名 価格 高速通信可能な容量 制限時の速度
日本通信 b-mobile X SIM プランI 900円/月 600MB/月 200kbps
プランN 934円/月 40MB/日 200kbps
プランB 1505円/月 2.2GB/月 200kbps
NTT Com OCN モバイル ONE 900円/月 50MB/日 200kbps
IIJ IIJmio高速モバイル/D ミニマムスタートプラン 900円/月 1GB/月 200kbps
ライトスタートプラン 1520円/月 2GB/月 200kbps
BIGLOBE BIGLOBE LTE・3G エントリープラン 900円/月 1GB/月 128kbps
ライトSプラン 1505円/月 2GB/月 128kbps
ライトMプラン 2838円/月 3GB/月 128kbps

サービス名 回線 最大速度 SIMカードサイズ パッケージ費用 SMS 制限解除
b-mobile X SIM ドコモ(Xi・FOMA) 150Mbps 標準
micro
nano
3000円 100MB/300円
500MB/1200円
OCN モバイル ONE ドコモ(Xi・FOMA) 150Mbps 標準
micro
nano
3000円 120円/月
IIJmio高速モバイル/D ドコモ(Xi・FOMA) 150Mbps 標準
micro
nano
3000円 140円/月 100MB/300円
BIGLOBE LTE・3G ドコモ(Xi・FOMA) 150Mbps 標準
micro
nano
3000円 120円/月 100MB/300円

b-mobile X SIM

まずは日本通信のb-mobile X SIMです。3種類のプランが用意されています。このプラン名は、このあと出てくるIIJ、NTTコミュニケーションズ、BIGLOBEの3社にそれぞれ対抗するプランになっています。ウェブサイトにはこの3社との比較表も出しているほどですからね。

その中でも、プランIの高速通信可能な容量は月ごとに600MBまで高速通信が利用できます。それに対してプランNは1日ごとに40MBまで高速通信が利用できます。同程度の月額料金なので自分のライフスタイルに合わせたプランにできますね。例えば、「毎日同じくらい通信する」という人にはプランNだろうし、「あまり使わないけどたまに多く通信する」という人にはプランIがいいのではと思います。ちなみに、プランNは月に直すと1200MB分(1ヶ月30日計算で毎日40MB使った場合)になります。なお、この高速通信可能な容量は翌月、もしくは翌日に引き継ぐことはできません。

高速通信可能な容量を使い切れば200kbpsに制限されますが、日本通信ではTurbo Chargeという使いたい時だけ高速通信を利用できるサービスを用意しています。高速通信可能な容量を追加でき、100MB(300円)単位と500MB(1200円)単位の2種類があります。これの利用期間は90日または利用データ量が追加した容量に達するまでです。専用アプリでTurbo ChargeをONにすれば高速通信ができますし、OFFにすれば追加容量を消費せず200kbpsで利用できます。動画視聴やアプリのダウンロードなど速度がほしいと思ったときに使えますね。

プランが3種類ありますがどれが自分に合っているのか分かりませんよね。b-mobile X SIMは料金月単位でプラン変更することが可能でプラン変更手数料はいりません。使いながら自分にぴったりのプランを見つけましょう。また、冒頭でも書きましたがこれらの3プランはIIJ、NTTコミュニケーションズ、BIGLOBEの3社にそれぞれ対抗するプランなので、その3社の使い勝手などを試すことができるという考え方もできます。

b-mobile X SIMはデータ通信専用で音声通話はもちろんですが、SMSも提供していません。他社ではSMSを提供しているところが多いので注意点でしょうかね。b-mobileの音声通話ができるSIMはまた後の機会に紹介する予定です。

追記)まだ書いている最中の4月17日にプランIとプランNにおいて、高速通信が可能なデータ通信量の増量が発表されました。プランIは600MBから1.01GBに増量されます。プランNでは40MBから51MBに増量され、月額基本料も900円に引き下げられます。新パッケージは6月1日に発売され、既存ユーザーは4月25日以降順次新しいサービス内容に切り替わります。上の内容もそのうち直します。

日本通信
日本通信、Harvest宣言 第2フェーズへ「格安SIM」の決定版、新b-mobile X SIMを発表

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日本通信
b-mobile X(エックス) SIM| b-mobile SIM

OCN モバイル ONE

次にNTTコミュニケーションズのOCN モバイル ONEです。これはマツコ・デラックスさんのCMでお馴染みですね。通信量によって5つのプランが用意されています。上の表では一番安いプランしか載せていませんので5つのプランをまとめます。ちなみに、4月1日から通信容量の増量や料金の値下げが行われています。

高速通信可能な容量 価格
50MB/日 900円/月
80MB/日 1380円/月
1GB/月 1100円/月
2GB/月 1450円/月
7GB/月 1800円/月

これらのコースは毎月1回自由に変更ができます。b-mobileと同様に1日の通信容量か1ヶ月の通信容量かを自分の使い方によって選べます。OCNではその使える通信容量の違うプランを用意しているのが特長です。また1GBと2GBのプランで容量追加オプションが提供され、価格は0.5GBが525円、合計通信容量が最大5GBまで追加することが可能です。追加した容量は購入した月に使い切る必要があり、翌月への繰り越しが残念ながらできません。

あと、注意点として通信回線はドコモのXi・FOMAを使用しているので受信時の最大速度は150Mbpsですが、7GBプランについては受信時最大500kbpsとなっています。速度より通信容量を優先させたい人にはお得なプランですね。

OCN モバイル ONEでは、月額120円増やすとSMSが使える「SMS対応」SIMパッケージや、月額150円増やすとスマートフォン用のIP電話アプリ「050 plus」が付いてくる「050 plus」付きSIMパッケージが用意されています。

「OCN 光サービス」とセットで利用すると、「OCN モバイル ONE」の月額利用料が、毎月200円の割引になるという固定とモバイルのセット割をしているようです。固定とモバイルのセットのよいところは、家では光通信で速い上に、無線LANでスマートフォン、タブレットなどをパケット通信容量を気にせず使えながら、月々の利用料が安くなるところでしょう。実際にKDDIの「auスマートバリュー」で契約数が増えてますから。最大3契約まで合計600円(648円)まで割り引くとのことです。

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IIJmio高速モバイル/D

インターネットイニシアティブ(IIJ)のIIJmio高速モバイル/Dです。一般的に利用する2プランを書いておきました。IIJでは高速通信可能な容量をバンドルクーポンという言い方をしていまして毎月ミニマムスタートプランなら1GB、ライトスタートプランなら2GB付与されます。ここでIIJの最大の魅力は、その月で使い切れなかったバンドルクーポンは翌月に繰り越すことが可能な点です。例えば1GBのプランで今月200MB残ってしまったとしましょう。この場合来月は1GB+200MB使うことができます。ちなみに、バンドルクーポンの有効期限は付与された月の翌月末日までとなっています。繰り越し1回ということでしょうね。十分だと思います。

高速通信のON/OFFの切り替えができるアプリ「IIJmioクーポンスイッチ(みおぽん)」が用意されている。これにより受信時最大150Mbpsの高速通信と最大200kbps低速通信をいつでも切り替えでき、クーポンを効率的に使うことができます。

他社でも同様なアプリを提供するところが増えてきました。使ったり使わなかったりする人にとっては嬉しい話ですが、IIJmio高速モバイル/Dはクーポンの繰り越しができるという魅力的な内容を持っています。例えば、来月に出張や旅行といった通信をよく使うと分かっていたとすると、今月分を低速通信で乗り切れば2ヶ月分の高速通信が可能であるということです。他社なら今月どう使おうが関係なく、来月に制限がかかれば追加購入か低速通信で我慢する形になります。

追加クーポンを購入することも可能です。100MBを300円で毎月最大30枚購入できるようです。有効期限は購入月から3ヵ月後の末日となっています。買う時期によりますが最大4ヶ月間ですね。

他社でも出た内容ですが、まずプラン変更は手数料なしで可能です。SMSは月額140円追加で利用可能です。最低利用期間ですが利用開始日の翌月末日までとなっていますので注意してください。

インターネットイニシアティブ
サービス概要 - サービス概要

BIGLOBE LTE・3G

元NECグループのBIGLOBEが提供しているBIGLOBE LTE・3Gです。ちなみに、4月1日からエントリープランの料金の値下げが行われています。エントリープランでは、高速通信可能な容量が月に1GBで、月額900円というのが今一番コストパフォーマンス的にみて格安プランだと思います。IIJmio高速モバイル/Dもそうですが…。余談ですが、「高速モバイル」を利用するにはBIGLOBEの接続コースへのお申し込みが必要となるようです。月額200円の「ベーシック」コースがBIGLOBEの接続コースの中で最も料金が安いコースで、BIGLOBEで固定回線を使わず「高速モバイル」のみでインターネット接続をされる方におすすめの接続コースとのことで、それぞれの月額料金の中に接続コースが含まれているようです。そのことを踏まえて言いたいのは、すでにBIGLOBEの接続サービスを利用している場合、書いている料金から200円引かれます。

BIGLOBEではAndroid専用のアプリ、オートコネクトを用意しています。オートコネクトは、Wi-Fiスポットを利用する際に必要な、Android端末のMACアドレスの登録からWi-Fi接続設定まで簡単・便利に行ってくれるほか、BIGLOBE LTE・3GとWi-Fi通信を自動で切り替えてくれます。Wi-FiのつながるエリアではWi-Fiに、Wi-FiのつながらないエリアではLTEに切り替えてくれるので、高速通信可能な容量の節約ができます。なんといっても「BIGLOBE LTE・3G」を利用中であれば、Wi-Fiスポットを追加料金不要で利用できるんです。Wi-Fiスポットではワイヤ・アンド・ワイヤレスの「Wi2 300」やソフトバンクテレコムの「BBモバイルポイント」が利用できます。

高速通信容量を増やせるボリュームチャージが利用できます。100MBを300円で100MB単位で購入できます。1回あたり最大1000MBまでの購入ができます。

まずプラン変更での手数料はかかりません。SMSは月額120円追加で利用可能です。音声通話には対応していませんが、BIGLOBEから提供される音声通話アプリ「BIGLOBEフォン・モバイル」を利用することで一応可能です。最低利用期間はありません。注意点としては制限時の送受信が最大128kbpsになるところです。他社は大抵200kbpsなんですがね。

今回はSIMカードのお話だけなんですが、BIGLOBEだけ端末とセットのお話をちょっとしておきます。BIGLOBEでは「ほぼスマホ」という専用端末を販売している。もともとNECグループということもあり、NECカシオモバイルコミュニケーションズのMEDIASをベースにした端末を提供してきました。今はシャープの「AQUOS PHONE ZETA SH-06E」をベースにした「AQUOS PHONE for BIGLOBE」を販売しています。また、タブレットでは「Nexus 7」をセットで提供しています。

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BIGLOBE
BIGLOBE LTE・3G:トップページ

最後に一言

さて、これだけ書くと頭が混乱してきます。正確に書いているつもりですが、きちんと自分の目で確認して契約してください。最後に今回紹介した4社の特長をまとめておきます。

b-mobile X SIM
・他社対抗プランでより安く、他社の使い勝手などを試せる

OCN モバイル ONE
・利用スタイルに合わせて、通信容量を5つのコースから選択できる

IIJmio高速モバイル/D
・通信速度の切り替えや高速データ通信量の繰り越し可能

BIGLOBE LTE・3G
・Wi-Fiスポット追加料金不要、オートコネクトで自動で高速通信可能容量を節約